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【自営/フリーランス】田舎で、明朗会計について考える。〜「ね語男子」を経て〜
明朗会計について考える

最近、同業者さんのセルフマガジン(※)を拝見する機会を得ました。
※自分に出来る仕事等を紹介した、自費出版の小冊子。無料の事が多いです。
【わたしも発行しました】。いま在庫0なので、増刷考え中です…

それを見て驚いたのは、みなさん「制作費を明確にしている」ということ。
つい最近、パートナーに
「イラストの仕事が欲しいのなら、どんなイラストはいくらかかる、って
金額を(セルフマガジンに)明記しておいた方が良かったんじゃないの?」
って言われたので。

よく周りを見渡してみれば、マガジンを請求しなくても、
ウェブサイト上やブログ上で
「これこれには幾らかかります」と明記している方が多い事に気づきました。

そして、それを明記していないわたしより、
おそらくその方達のほうが仕事が来ているんだろうな、という事も。

わたしが金額を明記しなかった理由は、

・「一度提示した金額は値上げが難しい」という事を知っていたから。

・フリーランスを始めた当初に設定していた金額を
「そんなの安すぎるよ!」と言われて、徐々に改変していった過去があるから。

・今も自分の金額設定に自信がないから。


です。

でもそんなの、「フリーランス新人」の時に卒業するべき事だったな、と今改めて思っています。
今年の年末でもう丸7年になるのに。

(上の画像はクリックで拡大します。
 あと、今日の記事はやたらめったら長い上に少し重いですよ!気をつけてね!)
 
【ペットステッカー制作】のように、金額を明記しているものもあります。
だけどこれは、「個人」に向けた商売の価格です。

もう随分前から、「企業からの依頼を受けないとダメだ」という事は分かっているのに、
わたしは未だに「企業に向けた金額設定のページ」を作っていないのでした。

“自分みたいなもんを相手にしてくれる企業なんて、内部に奇特な人がいない限り、無い”
と思っていました。いや、多分、今も思っています。

「ね語男子」のプロデューサーみたいな奇特な人がいなければ、無理だろうなあと。
(ちなみにわたしの使う「奇特」は悪口ではありません…)

※「ね語男子」はわたしがキャラクター&ジャケット担当をした声優CDシリーズです。
【こういう感じの商品です】(うちのネットショップに飛びます)

* * * * *

「ね語男子」のプロデューサーの話は、今でも忘れられません。

“自社のCDジャケットを担当してくれるイラストレーターを探そうと思って、
ネット検索で「ネコ イラスト」と打って探した。
(最初は「ね語男子」ではなく「ね語方言」というCDでした)
5番目くらいにあったのがともえさんの「ネコトバ。」のイラストだった。

本当はもっとほんわかしたタッチのイラストを想定していたのだけど、
「ネコトバ。」のイラストを見て「これだ!!」と思った。
でも夜のテンションでハイになってるだけかも知れないから、一晩置いて考えよう。
で、一晩寝て目が覚めても「やっぱりあの絵がいい」と思ったので、メールした。”

そんな漫画みたいな話があるものなんだ、と思いました。
わたしは営業も売り込みも何もせず、
ただひたすら好きなネコの絵を描いていただけなのに、仕事がもらえるなんて。

この事には凄く感謝をしていますが、同時にわたしの脳には
「営業しなくてもいいんだ」という思い込みが埋め込まれてしまったような気がします。
もしこの時もっと苦労していれば、
わたしは「宣伝」や「営業」のことをもっと早い段階で真剣に考えたのではないか、と。
今更言ってもしょうがない事ではありますが。

* * * * *

明朗会計を目指す身として敢えて書きますが、
ね語男子のCDジャケット制作費は当時2万円+源泉徴収分の金額でした。
(※途中、表紙に描くネコの数が増えたので増額をお願いしました。
 あと、ロゴを改変する時などは別料金を頂きました)

地元(島根県)の個人事業主の方に
A4のチラシデザインを3千円でやってくれ、と言われていたわたしにとって、
その金額は夢のような金額でした。

あんなリテイクが多くて謎の要望が多いチラシデザインを3千円でやってるのに、
大好きなネコの絵を何点か描いたくらいで、万を越える金額が頂ける。

声優さんの事はよく分からないけど、「誰かを好き」という気持ちは分かる。
だからわたしは、出来るだけ「声優さんの声のイメージ」や「顔写真」に近づけてキャラを制作し、
グッズを作り、自分の店限定の「CD+グッズ付きの限定パック」を作りました。

わたしは自分のネットショップも持っていたので、
「イラストの制作費」とは別に「CDを販売する事」で収入を得ていました。
もうそうなってくると、チラシ3千円制作なんて本当に「アホか」と思うくらいの収入でした。
会社に発注した分だけちゃんとCDも売れるし、なんていい仕事だと思いました。

しかしながら「盛者必衰」の理どおり、仕入れたCDが大量に余る、という事態が起きました。
後で気づいた事ですが、“CDや関連グッズを買う事が多いファン層”がいる声優さんと
そうではない声優さんがいて、そうではない声優さんの時は売上がもの凄く落ちるのです。

シリーズを重ねるごとにそれは増えていき、
今もわたしの事務所には「ね語男子」の在庫が大量にあります。

(だからCD発売から何年も経っている今でも
「ね語男子」をうちで注文してもらえると、本当にありがたいし嬉しいのです…。
 正直、発売当時より有難がっているかもしれません)

プロデューサーからも「ね語男子の売上が落ちてきた」と言われました。

わたしは自分を責めました。

「わたしが声ヲタ(声優ヲタクの意味)で、そういう友人知人がいっぱい居れば、
もっと何とかなったのではないか?」
「わたしが同人業界の有名作家だったりしたら、もっと売れたのではないか?」
「わたしが今流行のアニメを好きで、そこのコミュニティに入っていれば、
もっと宣伝してもらえたのではないか?」

今思えば自意識過剰にも程がありますが、当時は本当にそう思っていました。

そして、声優にも流行のアニメにも同人誌にもまったく興味がない自分を呪いました。
※ちなみにわたしは元腐女子だし学生時代は声優もアニメも同人誌も好きでした。
 当時も二次創作的なものは描いていましたが、意気揚々と同人イベントに出る程ではありませんでした。
 (友人の同人誌にカットを寄稿するくらい)

自分で自分を精神的に追いつめ、CDの在庫は積み重なり、
それでも「今自分に出来ることを精一杯頑張ろう」と思って
必死で可愛いネコ達を生み出そうとしていました。
「ファンの方はどういうものを喜んでくれるだろう、笑ってくれるだろう」
そればかり考えていました。

そして最終的に、「ね語男子の制作中止」の通知が来ました。

その時もわたしは

「わたしが制作費の値上げを請求したから、会社側が制作打ち止めを決めたのかも知れない」

と思っていました。

この“自分で自分を責める癖”はわたしの精神疾患に由来するものですが、
その話を書き出すとめちゃくちゃ長くなるので、また別の機会に書きます。
(というか、こんな記事を書く予定は本来全くなく、
最近はそれについてどういう風に記事にしようかという事ばかり考えていました…)

* * * * *

自営・フリーランスの鉄則に

「一企業(から来る大口の仕事)だけに頼ってはいけない」

というものがあります。

わたしは見事にその穴に落ちました。
ほとんど「ね語男子」を作ることに心血を注いでいたので、他社へ営業もしていませんでしたし、
その仕事がなくなってもやっていけるだけの“他の仕事”ももちろんありませんでした。

そんな時に限って、わたしは青森で一人暮らしをすることを決めていました。
正直、「ね語男子があるから大丈夫だろう」と思っていたのです。
出発直前に打ち切りが決まり、ほぼ無収入の状態で、わたしは青森へ旅立ったのでした。

わたしは慌てて他の仕事を探し、営業や宣伝を必死になってしました。
手に入れたのは、時給100円にしかならないんじゃないか、
というイラストの仕事や、支払日を平気で破る会社との取引。

精神的にどんどんおかしくなり、
布団を被って泣いているだけ、の日が増えてきました。

家賃が払えないので消費者金融を頼り、
借金がどんどん増えていきました。

ひとりで居るのが寂しいので、
度々島根に帰っていて、どんどん交通費がかさみました。

結局わたしは、わずか半年でまた島根に出戻る事になりました。

* * * * *

島根に帰って落ち着いて暮らせたか、といったらそんな事はありません。

【こちらの4コマ】でも書いた通り、
仕事をどんなに頑張ろうが何しようが、結婚して出産しなければ認められないのが島根です。
(いや、もしかしたら島根県でも
「仕事ができて認められている女性」は居るかもしれませんが、
 うちの一族はそうではありませんでした)

わたしの叔母のように、自営で大阪でバリバリ仕事をするなら良いですが、
地元でどう頑張ったってわたしは「ダメ」でした。

最初に「A4チラシの制作を3千円でしていた」と書きましたが、
島根県は全体的に「デザイン業に払う制作費が低い」と思っております。

ちゃんとした「広告代理店の会社」にならそれなりの金額を払うかもしれません。
でも「フリーランス」は「素人」と同じ扱いです。

特にわたしは大手企業で大活躍した経歴もないので、
未だにアマチュア扱いだと思います。

「ね語男子」のCDは全国のCD店に置かれました。
そんなこと島根県では「どうでもいいこと」です。
大企業に居たり、地元のテレビに出たり、
有名な看板やポスターやCMでも作ったりしてなければ「素人」です。

地元の方から時々お見積もりの請求が来ます。

「○○のロゴを作って欲しいのですがいくらで出来ますか?」
「ロゴ制作なら、デザイン内容にもよりますが1万円〜ですね」
→返事なし。

「こういう冊子を作って欲しいんだけど、大体どのくらいで出来ますか?
○○社は25万かかるって言われたんですけど」
「そんなにですか!? うちで作れば15万くらいで済むと思いますが…」
→返事なし。

「こんな感じの厚めの紙で3000枚くらい店のチラシを作りたいのですが、
印刷代と合わせて幾らですか?」
「そのくらいの厚みなら印刷代と合わせても3万円くらいですよ」
→返事なし。

仕事に繋がっても、
「予算も制作費も何も言わずにリテイクだけが積み重なる」という事態。
(これはわたしが制作費を明示する事を怯えた結果でもありますが)
※もちろんちゃんとした仕事をくれる方もいました。全体の1割くらいですが。

10万円多く払っても、「ちゃんとした会社」に頼んだ方がいいのか?
「ちゃんとした会社」に頼まないなら、3千円くらいで作って欲しいってこと?

自分の制作費を同業者や系列の人に言うと、「安すぎる」と言われる。
なのに見積もると、返事が来ない。
じゃあ一体どの金額が正しいんだろう。

そんな事をずっとずっと悩んでいて、
明朗会計も出来ない、企業に営業もできないまま、
ただ年月だけが過ぎていきました。


仕事はバリバリできない、結婚も出産も出来ない、そのうえ精神疾患がある。
「わたしは死んだ方がいい人間だなあ」と何度も思いました。
でももう死ぬ気も起きない。死のうとするのは疲れるから。
助かってしまったとき、異様に疲れるから。
だけど、「絶対に助からない方法」で死ぬ勇気もない。

* * * * *

そんな時、冗談で言っていた「めしやをやってみたい」という夢が叶いました。
支えてくれるパートナーにも出会いました。
【おじさんとねんちゃん。】でいうところの「おじさん」ですね。

一番しんどかった時よりだいぶん好転したけれど、
「−100」くらいだったのがやっと「0」もしくは「−1」くらいになった程度で、
やはりわたしは低収入だし、しんどい事もまだまだ多いです。
意味不明な制作問い合せも未だに来ます。

「東京や都会に出ればもっと仕事が出来るんじゃないか」と言われる事もあります。
それでもわたしは、「島根」で生きるしかない、と思っております。

有名企業しか信じなくて、素人に頼むなら3千円でデザインを頼むような、
ほんとクッソみたいな田舎だなと思うけど、ここから出る気はありません。
全部全部クソな訳じゃないし、時々おもしろい人も居るし、おもしろい事も起きるからね。

有名企業しか信じないなら、有名になればいい。
だから先日、島根県の公募に応募しました。
そんなに「ちゃんとした有名な仕事」をやってる人が偉いのなら、
「県の仕事」をつかんでやる、と思って。
どうなるか分かりませんけど。

島根県の依頼がクソなら、外からの依頼を受ければいい。
その為にはやっぱり、ネットツールを最大限に使わないといけないし、
「明朗会計」が必要だな、と思いました。

ずいぶん長い話をしてしまいましたが、
「制作費が不明瞭」なのはとにもかくにも「自信の無さ」に繋がります。

わたしの場合、「自分は精神疾患を抱えている人間だ」というのが
「自信の無さ」の最大の理由でしたが、
べつに突然奇声を上げて暴れ回るような精神疾患ではありません。
(何度も言いますがそれについては後日、別記事を立ち上げる予定です)

料理を作り、お客様に提供し、少し世間話をしたりもできるし、
ちゃんとお金をもらってお釣りを渡し、
「またお願いします」と笑顔で見送る事が出来る。

「めしや」をやってきて思いました。
なんだ、わたしは普通の人間だったじゃないか、と。
(「変わり者」ではあるかもしれませんけど…自分ではあまりそう思ってない…)

ずいぶん遠回りをしてしまった気がするけれど、
まだまだ「手遅れ」じゃない、とは思っています。
そういや今月で33歳ですよ。いつも忘れそうになるけど。

これから先、「−100」だった人生が
今の「0」か「−1」よりもっと好転するなら、
「精神疾患に悩まされても出来ることは出来る」
みたいな記事を書くと思います。笑

そうなるためには、今頑張らなきゃなあ。
ごきげんよう、さようなら。

こんな記事を書いていますが、本日も「めしや」営業します。
店で突然奇声を上げて暴れ回ったりしないので安心して下さい。普通のおかみです。

営業時間は18時から深夜1時頃まで。
(0時〜0時半の早じまいあり)
昨日は久しぶりに1時まで営業しましたね。楽しかった。

お会いできる方は、また今夜。


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