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“ハンドメイドに大事なのは宣伝と対面販売” シルバーアクセサリー「銀久」インタビュー
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“自分の気になる作家さんやクリエイターさんに、どんな思いで制作活動をしているのか聞いてみたい”
そんな思いで立てたインタビュー企画、
第1回はシルバーアクセサリーブランド「銀久-GINKYU-」さんにお話をうかがいました!


●アクセサリー販売は“試着”が大事

―銀久さんは現在インターネット販売よりもイベント出店をメインにされていますが、その理由を教えて下さい。

「単純に、ネットに比べてイベントの方が好調だからです。
イベントにも出してネットにも出して…と並行してやっていますが、イベントの方が反応がいいです。

うちはシルバーアクセサリーで特にリングがメインなので、やはり試着してもらうのが大事なんです。自分の指に着けたらどんな雰囲気になるのか、サイズ感はどうなのか、というのは実際に試着しなければ分かりませんから。

ネット販売の売上は全体の数%くらいしかありません。ただし、正月に出している福袋を除いてですが。
福袋は年間売上でも大きな数字を占めています。」

―福袋はやはり売れるのですか。ショッピングモールなども毎年やってますもんね。

「そうですね。ただ、かなりサービスしているので、利益にはあまりなっていません。
でも、“今年は○分で売り切れた!”とか記録更新するのは嬉しいです。

福袋は採算を考えずに広報のためにやっているので、売上よりも宣伝効果を重視しています。
なので福袋を購入したお客さんには、TwitterやInstagramなどにどんどん写真をアップして欲しいです。
色々な宣伝はしてきましたが、うちは基本的に口コミでお客さんが増えていったと思うので。」
 
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●10年以上勤めた会社を退職して、シルバーアクセサリーの世界へ

―「銀久」を始めた最初のキッカケは何でしたか?

「私はもともと、某食品会社の営業職で営業やマーケティングの仕事をしていました。
比較的大きな会社だったと思います。

そこで10年以上働いていたのですが、給料はそれなりにいいけどやっぱり仕事はきついんですよね。
『役職が上る前に自分の体がもたないんじゃないか?』と考え始めて。

私は3ヶ月に1回かならず、ストレスで扁桃腺を腫らしてたんですよ。
医者には“慢性扁桃炎”だと診断されました。

薬を飲んで何とかやってきたんですけど、医者から『このままだと薬で肝臓がやられるよ』と言われて。
体壊すか会社辞めるかどっちか選べって状況になった時に、会社辞める方を選びました。
それが『銀久』を開業する2年前ですね。

周囲にシルバーアクセサリーをやっている人が結構いたので、自分も趣味で始めてみたんです。
仕事はきつかったけどその分使う暇もなく蓄えはあったので、材料や設備を簡単に買うことができたんですね。

仕事を辞めてしばらくは、失業保険をもらいつつ次の仕事をさがしながら生活してたんですが…
1年くらい経って『そろそろ仕事しないとまずい! でも会社員はこりごりだ。さて、何やろう?』と考えて。
周りのシルバーアクセサリー職人さんが順調にやっているように見えたので、
『じゃあ自分も、趣味でやってたことを仕事にしてみるか!』と思ったんです。

趣味の時点で設備は整っていましたが、さすがに工房はありませんでしたので…。
退職金や会社員時代に購入した株などを全部売却して積立を全部取り崩し、それを資金に工房を購入して、
仕事にする決意をしました」

―「銀久」さんは3周年を迎えられてましたよね。
ということは、シルバーを始めてから5年ですか!? もっと長くされているのかと思いました。


「そうですね、3年前の10月一日(いっぴ)から始めたので。
まだまだ、技術的には成長途中だと思いますよ。
だからこそ会社員時代の経験を活かして、得意な販売・宣伝に力を入れています」


●イベント出店の悲喜こもごも

―イベント出店していて、大変だった・残念だったという経験はありますか?

「万引きですね。小さい商品なので、スッと取って行きやすいんでしょうね。
こちらも気をつけて見てはいるのですが、一人で対応しているとなかなか…。
大きいイベントでは、もう一人売り子さんをお願いしたりしているんですけど。

あとは、そういうこともあるし気をつけないとって程度の話なのですが…
前に買った銀久のリングをブースに置いて、別の新しいリングを試着して、
そのまま自分のリングを置いてっちゃった方がいて。同じものなんで、見分けがつかないんですよね。

その時は何とか見つかりましたが、自分の指輪をブースに置かれると、後々面倒になることが分かったので…
外して試着する時に自分のものはポケットに入れるなどしてもらえれば、トラブルがなくて良いかもしれません。」

―イベント出店していて、嬉しかった・楽しかったという経験はありますか?

「初めて出店した時に売れた時は、やっぱり嬉しかったですね。『大丈夫、やっていけるぞ』って思いました。
その後、偶然その“一番最初に買った方”と再会したのですが、その時も嬉しかったです。

ブースに置かれると困るとは言いましたが、前に買った銀久のリングをつけて来ていただけるのは嬉しいです。
あとは、感想のお手紙などをいただいた時なども。

それから毎回のイベントごとに売上目標を立てているのですが、この目標が達成したり、
前回出店時を上回ったりすると『やった!』と思います」


●お手頃価格のシルバーアクセリーである理由

―銀久さんはアクセサリーの価格がかなりお手頃に感じるのですが…

「あ、そうだと思います。シルバー業界の中ではかなり安い方だと思いますね。
さっきも言いましたが、私はマーケティングに携わっていたのと、大学の専攻もマーケティングだったので、
“作ること”よりも“どうやって売るか・宣伝するか”をかなり重視しています。

なので銀久を始めた当初は、
“利益よりも、まずは沢山の方に買ってもらうこと・知ってもらうことが大事”
だと思っていたので、リング1本3000円で売ってました。
友人や同業者に『ドンキ(ホーテのシルバー)かよ!』って言われたこともあります(笑)。
最近では技術力も上がり、製品のできも良くなってきて競争力もついてきたので、価格変更も行っています。

それでもシルバー業界全体で見ると安い方だと思います。何故それが出来るかというと、シルバーアクセサリーを作るにあたっての工程を、全て自分で行っているからなんですね。

一般的なシルバー職人さんは、全工程の中の大部分を業者さんに頼んでいる方が多いと思います。
もちろんその方が、専業でされている方に任せられるので仕上がりは綺麗になりますし、作業時間もとられないですが…そのぶん業者さんの人件費・作業費(工賃)がかかるんですね。

私はそれが無いので、お安く提供できますよ、ということなんです。
しかしそろそろ一人では限界が出てきたので、最近は工程の一部分だけ人に頼んだりしています。」

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●商人気質の強さを活かしたハンドメイド活動

―制作をしていてこんな事が楽しい、ということはありますか?

「10年以上もマーケティングの世界にいたせいか、実は制作よりも宣伝・販売の方が楽しいんですよ。
『どんな模様や形が買ってもらえるだろうか?』とか『どんな風に宣伝したらいいだろうか?』
とかを考えたり実践したりしている方が、制作時間よりもかなり長いと思います。

私はハンドメイド作家って3タイプに分かれると考えているんですよ。

1.職人…自分の作品を見て欲しい・自分の作りたいものが作りたい人
2.商人…どうやったら作品が売れるかを考えたい人
3.自己満足…自分自身を売りたい・有名になりたい人

みんなこの3つの気質をそれぞれ20%とか30%とか持っていて、どれかの値が高い…
という方が多いと思うのですが、私は商人的な気質の割合が高い気がします。

自分の作りたいものというより、人が欲しいと思うものを作っていきたいので、職人ではないし。
銀久というブランドを売りたいけど、自分自身はあまり出したくないので、自己満足でもないし。

イベントでは仕方ないですが、Webでは顔とか極力出したくないんですよ。
なので最初の頃は、女性だと思われてました(笑)」

―“宣伝・売り方が分からない”という事で悩んでいるハンドメイド作家さんは沢山いらっしゃると思いますが、銀久さんはそこが強いブランドなんですね。

「そうかも知れません。時々、他のハンドメイド作家さんを見て『素晴らしい作品なんだから、もっと宣伝すればいいのに…もったいない!』と思うこともあります。余計なお世話だと思うんですけど(笑)。

作品制作もそうですが、イベント出店に当たっても“事前告知・宣伝”はとても重要です。
『とりあえず出店さえすれば、誰かが自分の作品を見つけて買ってくれる』
というのはなかなか難しいことなので、とにかく告知と宣伝はした方がいいですね。

イベントで時々『どうやったらそんなに売れるようになりますか?』とご質問いただくことがあるんですけど、私はとにかく告知と宣伝をすることと、作品をたくさん作ることと参加し続けることが大事だと思っています。

作品が沢山あれば、自分のブースにボリュームが出て目を引きます。
作品がちょっとだけで什器を華やかにしても、効果は薄いと思います。什器を売るわけじゃないので。

豪華な什器がアイキャッチになっても、その後いざ売っている物へ目が行った時、什器に負けていると購入につながらないと思います。
個人的には作品が沢山並べられるよう、作品が見やすいよう、什器はシンプルであった方がいいと思っています。」


●とりあえずやってみる&誰にでも真似できることをしない

―自分が作りたいものより人が欲しいと思うものを作っていきたいということですが、お客さんからのご要望にはどの程度まで応えますか? デザインとか、金額とか。

「製品は“リクエストされたらとりあえず全部作ってみる”を目標にしています。
もしそれでダメでも、売るのをやめればいいだけなので。逆に、売れたらラッキーくらいの感じで。

金額はお客さんの言う通りにすることはありませんね。
高すぎると言われても、安すぎると言われても、変更することはありません。必ず、自分が決めた金額にします」

―制作よりも宣伝・販売の方が楽しく感じるということですが、ではなぜ“自分で作る”ことを選ばれたのでしょうか?

「自分で製造した方が、他との差別化がしやすいからです。
仕入れた商品を販売する場合、差別化できるところが“接客・金額”しかないんですよ。

でも自分で作った製品を販売するのであれば、自分のところで作っているので、“売るもの”で差別化ができる。
お客さんのご要望にも応えやすいです。

また、同業者に真似されにくい・真似できないものを作ることができるのも製品販売のいいところです。
おそらく、少しでもシルバーをやっている方なら“銀久と同じデザインのもの”は作ろうと思えば作れると思います。ただし、コストや時間がかかりすぎて同じ金額で売ることはできない。
逆に同じ金額のシルバーアクセサリーを販売することはできても、このデザインを再現できない。

私は最初から銀久の作品には“参入障壁”を作ろうと考えていたので、簡単に真似ができないような工夫を考えました。誰にでも真似できるものを作らない、というのはすごく大切なことだと思います」


●目標は低く見積もるとそれ以上に行けない、目指すは日本一

―銀久さんの目指すところ…最終目標などはありますか?

「法人化して上場企業になりたいですね。もっと資金があれば工房に人を雇って入れたいし、職人というよりはどちらかというと経営者になりたいです。やはり商人気質なので。

製造メーカーの日本一といえば、やはりトヨタでしょう。目指すはトヨタですよ」

―トヨタ。自動車のですか!?

「そうです、トヨタ自動車です。まあ、シルバーアクセサリーでトヨタになれるとは思っていませんが(笑)。

目標を低く見積もってしまうと、それ以上に行けなくなるでしょう?
なので、目標はかなり高くに設定するようにしています。
“目標は大きく!”が大切だと思っているので、笑われたってこれが目標です。」


インタビュアー愛用アクセサリー

●おわりに

今回、急に思いついて銀久さんに電話取材をお願いしたのですが、
快く引き受けて下さったばかりか、本当にためになる話をたくさん聞かせて下さいました!

「こういう話を聞かれる事がないので、かなり調子に乗って喋ってますけど、
オフレコにして欲しい部分がたくさんあります!」
ということで、載せていない話もかなりあり、わたしだけこんなすごい話を聞いていいのかな〜と思っています。

予定していた取材時間を大幅に越えてお話をしてくださり、本当にありがとうございました。
とっても面白かったです!

今回の記事や作品写真で「銀久」さんに興味を持たれた方は、
ぜひオンラインショップやSNS、そして一番メインのイベント出店に足を運んでみて下さいね。


【銀久-GINKYU- data】

Twitter
Facebook

◎実売
「Tasche Glass」
東京都府中市府中町2-7-1イーストビル1F
・営業時間 am9:00~pm9:00・定休日 水曜日

オンラインショップ
ginkyucode.gif


【今後のイベント出店情報】
2017年
12/31 コミックマーケット3日目  ビッグサイト 東京都
2018年
1/14  arteVarie 37 (COMIC CITY大阪 113)インテックス大阪 大阪府
1/20-21 Creema Craft Party2018 インテックス大阪 大阪府
4/28-29 artDive インテックス大阪3号館 大阪府
5/12-13 デザインフェスタ ビッグサイト西ホール全館 東京都
5/26-27 ヨコハマハンドメイドマルシェ2018 パシフィコ横浜 神奈川県

* * * * *

インタビュアーはライターとしてだけでなく、自身もハンドメイド作家・クリエイターとして活動しています。
今後も作家さんのみならず、さまざまなクリエイターさん・表現者さん・お店などを応援するために
取材記事を執筆していこうと考えております。どうぞよろしくお願いいたします!


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